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高齢者の熱中症

熱中症

はじめに

じめじめした季節になってきました。

今回は、例年これから増えてくる熱中症がテーマです。

熱中症の高リスク

消防庁のデータ(令和4年5月~9月)によると、

都道府県別人口10万人当たりの救急搬送人員は九州が多く、

1位鳥取県、2位鹿児島県、3位大分県、4位熊本県、5位佐賀県

全国救急搬送状況は、

月別では、1位 7月、2位 8月、3位 6月、4位 9月

年齢区分別では、1位 高齢者、2位 成人、3位 少年、4位 乳幼児

発生場所別では、1位 住居、2位 道路 などとなっています。

 

つまり、明日から7月になる熊本では、特に、高齢者は住居や道路での熱中症に一層注意する必要があることがわかります。

熱中症の症状

熱中症の症状には、めまい、立ち眩み、こむら返り、手足のしびれ、頭痛、吐き気、だるさ、集中力の低下、意識障害、痙攣、運動障害などがあります。

これらは、ほとんど脱水に起因します。

脱水は体内の水分の不足や体液の電解質(塩分など)のバランスの乱れが原因です。

 

脱水の可能性を判断するのに有名な方法を紹介します。

 

 

一つ目は舌や脇の下をみることです。

表面が乾いていたら黄色信号です。

 

二つ目は親指の爪を押すことです。

赤みが戻る時間(CRT)が3秒以上だったら脱水の可能性があります。

 

三つ目はツルゴール反応です。

 

手の甲をつまんで少し持ち上げて話した時、正常ならすぐに皮膚が戻りますが、2秒以上元に戻らない場合脱水の可能性があります。

 

検査項目では、BUN/Cr比で腎血流量の減少を推測したり、ヘマトクリット値で血液濃縮を推測することで、脱水の判断をすることがあります。

急激な体重減少や尿量の減少も脱水を推測する要素です。

高齢者は高リスク

高齢者は、もともと体内の水分量が少ないです。

小児が約70%、成人が約60%であるのに対して、高齢者は約50%と言われています。

 

また、高齢者は、食事量が減ることが多く、水分摂取量も不足しがちです。

夜間トイレに起きたくないため水分摂取を控える方も多いです。

倹約意識や我慢に慣れていて、エアコンをつけない方も多いです。

早朝のウォーキングも水分摂取せずに行えば脱水につながります。

持病の症状によって脱水の症状に気づくのが遅れる場合があります。

高血圧で利尿薬を服用している場合や、糖尿病患者は、水分が少なくなりがちです。

 

このように高齢者は高リスクであり、また、いったん熱中症になると重症になる可能性が高いと言われているため予防がとても重要です。

熱中症予防

熱中症は予防することができます。

特に、体内の水分量が少ない高齢者は水分補給が大切です。

体内の電解質のバランスを整えるためには、塩分も必要です。

 

このため、具体的には、

のどが渇いていなくてもこまめに水分補給する(電解質(塩分)を含むものが良い)。

早朝ウォーキングする場合は、水を飲んでから、飲み物をもって出かける。

エアコンをつける。

直射日光を避ける。

規則正しい生活を心がける。(食事習慣、睡眠時間確保など)

といった対策をするとよいです。

 

*心臓や腎臓の病気がある方は水分の取りすぎに注意が必要な場合があります。

おわりに

熱中症は予防が大切とよく言われます。

これからの7月の九州は特に対策に心がけて、充実した生活を楽しみましょう~